【11月29日 AFP】北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の米国首席代表、クリストファー・ヒル(Christopher Hill)国務次官補は29日、北朝鮮の核施設の無能力化が順調に進んでいると評価した。また、北朝鮮が進めてきたと疑われている核計画についても、近日中に明らかになるだろうとの見解を示した。

 12月3日から北朝鮮を訪問し、寧辺(ニョンビョン、Yongbyon)にある核施設の無能力化作業を視察する予定のヒル次官補は、韓国に立ち寄り、関係者らと協議している。米国の監視団の下に進行している無能力化作業は、これまでのところ「非常にうまくいっている」と述べた。

 ヒル次官補によると、次週予定されている6か国協議で議題とすることが可能なよう、北朝鮮側から数日中に核計画が申告される見通しだという。ヒル次官補は「3日に北朝鮮入りした時にこれについて協議し、6か国協議の議長国である中国に申告するという理解を得たい」と述べた。

■12月協議の主要議題は「核計画の申告」

 北朝鮮からの「核計画の申告」は、北京で12月6日に予定されている次回6か国協議の主要議題となる見込みだ。

 ヒル次官補は、疑惑がもたれてきた高濃縮ウラン(HEU)の使用に基づくものも含め、申告にはすべての核計画、核施設、核物質が含まれなければならないと強調した。

 6か国協議以前の北朝鮮非核化の試みだった米朝枠組み合意は、2002年に米国が、北朝鮮は秘密裏に高濃縮ウラン核開発計画を実施していると非難したことをきっかけに崩壊した。 

 ヒル次官補は同日、ソウルの米商工会議所で演説し「(北朝鮮の)高濃縮ウラン核開発計画について、また現在進行中でなければ過去の計画について、われわれは完全に理解する必要がある。物事を無視できる立場に自分たちを置くことはできない。こうした計画すべてについてわれわれは透明性を求めており、北朝鮮はそれを理解している」と語った。

 また、北朝鮮側は高濃縮ウラン核開発計画の存在を認めたことはこれまで一切ないが、この問題について「相互の満足」が得られるよう取り組むとの申し出があったとヒル氏は述べ、「まだ解決には至っていないが、こうした対話の方向性に基づけば年末までに検証可能な申告が得られる自信がある」とした。

 2月の6か国協議合意に基づき、北朝鮮は11月に入って米国の監視団の下、寧辺にあるプルトニウム生産プラント3基を無能力化した。北朝鮮はエネルギー支援と引き換えに、12月31日までに無能力化を完了し、核計画や保有核物質に関する申告を終えるとしている。無能力化された施設は少なくとも1年間は使用不能となる。

 6か国協議における最終段階では、2008年に北朝鮮による核開発の凍結、保有プルトニウムや核爆弾の放棄が目標とされている。(c)AFP/Park Chan-Kyong