【11月26日 AFP】(一部更新)24日に投開票されたオーストラリアの総選挙で、気候変動とイラク情勢に対する政策路線の変更を公約とするケビン・ラッド(Kevin Rudd)党首率いる中道左派の野党労働党(Labor Party)が大勝し、11年に及んだジョン・ハワード(John Howard)政権に終止符を打つことになった。

■第二次大戦後最大の勝利

 労働党は第二次世界大戦後最大の勝利となる150議席中88議席を獲得し、ハワード首相が党首を務める自由党(Liberal Party)の60議席に大きく差をつけた。「ハワード政権はイラク戦争や気候変動問題、労働法改正など重要な政策に関して国民の実態を把握していない」との指摘が、長期政権にうんざりし、変革を求めていた有権者の心をつかんだ。

 ラッド党首は当選後初めて行った記者会見で、京都議定書(Kyoto Protocol)の批准などの地球温暖化対策やイラクから豪軍部隊の撤退といった公約の実現に速やかに取りかかると表明。一方で、米国に対し和解の意向を示し、熾烈な総選挙後の国内の和解を進めていくとも語った。

■ブッシュ大統領と会談、イラク撤退については話さず

 ラッド党首は、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相やインドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ(Susilo Bambang Yudhoyono)大統領、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領ら各国首脳と電話会談を行ったことを明らかにした。

 特にブッシュ米大統領に対して「将来の外交政策における米国との同盟関係の重要性」を強調。年明けにも訪米する意向を伝え、ブッシュ米大統領から歓迎されたとしている。

 ただし、イラクに駐留している豪軍部隊550人を撤退させるとの公約について、ブッシュ米大統領と協議したかについての言及は避けた。豪軍の撤退については、イラクでテロリストが勝利しているとのメッセージを送るに等しいとして、ハワード首相やブッシュ米大統領が批判していた。(c)AFP/Marc Lavine