【11月6日 AFP】(11月7日写真追加)7日にロシア革命90周年を控えるロシアでは、12月2日投票の議会選挙に向けた準備が進む中、ノスタルジアと危機感が交錯する。

 1917年11月7日(旧暦10月25日)、ウラジーミル・レーニン(Vladimir Lenin)率いる社会民主労働党ボリシェビキ(Bolshevik)派が現在のサンクトペテルブルク(Saint Petersburg)の武装蜂起で臨時政府を打倒した。その後レーニンは国民に対する圧政を強め、反政府主義の蜂起を弾圧。数十万人の国民が犠牲となった。

 1991年のソ連崩壊後、ロシアは大々的に革命記念日を祝っていない。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、圧政を行い、数十万の国民を死に導いた当時の指導者レーニンに自らをなぞらえることはない。

■旧ソビエトへの複雑な思い

 政府主導の式典は行われず、共産党(Communist Party)の権威が陰りをみせる一方で、専門家は、政府指導部に旧ソ連時代への複雑な思いがあると指摘する。

 与党・統一ロシア(United Russia)がかつての共産党の再現ともいえる一党支配を目指しているとの批判もある。来月の議会選挙では、新選挙法と報道規制により有力野党議員の選出は難しいとの見方が強い。

 独立系ノーバヤ・ガゼータ(Novaya Gazeta)紙は、ロシア政府は「偉大な指導者が率いる単独政党支配と計画経済による未来のソビエト」を目指していると非難する。

 プーチン大統領は「偉大なロシア」復活を説きつつも民主主義推進を強調する。4月のボリス・エリツィン(Boris Yeltsin)前大統領の死にあたってプーチン大統領は、前大統領のもとで「新しい民主主義ロシア」「本来の意味で人民主権の国家」が生まれたと語っている。

■国民の反応はさまざま

 同国の調査会社Public Opinion Foundationによる最近の世論調査では、国民の40%が1917年の革命をおおむね支持していることが明らかになった。また別の調査会社Levada-Centerによる調査では、44%がソビエト体制に批判的なものの、35%が回帰を望んでいるとの結果となった。また、4人に1人は現在の政治制度がソビエト体制に「だんだん似てきた」と感じている。

 プーチン大統領の側近の1人、Vladimir Kozhin氏は最近、レーニンの遺体をレーニン廟(びょう)から移動すべきかを国民投票に諮る可能性を示唆した。

 ある40代の男性は「モスクワ(Moscow)におけるレーニンの存在は象徴的だ」と言い、遺体が移される可能性は極めて低いとみている。

 男性はプーチン大統領が「ソビエト政策」を推し進めているとした上で、「プーチン大統領には狂信的なところがある。モスクワでも地方でも、国民は政府のいいなりだ。統一ロシアが共産党に取って代わっただけだ」と指摘する。

「1917年の出来事は革命ではなく流血のクーデターだった。国民はずっと、あのクーデターがもたらしたものに苦しんでいる」(c)AFP/Victoria Loguinova