【10月29日 AFP】(一部更新、写真追加)28日に投開票が行われたアルゼンチンの大統領選挙で、現職大統領夫人のクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(Cristina Fernandez de Kirchner)上院議員(54)が当選を確実にし、同日夜に勝利宣言を行った。

 大統領選挙で女性が選出されるのは同国初。女性大統領としては1974年、当時のフアン・ペロン(Juan Peron)大統領の死去に伴い、妻のイサベル(Isabel Peron)副大統領が昇格、世界初の女性大統領となっている。

 選管の公式開票速報(開票率12%時点)によると、開票率12%の時点でフェルナンデス氏の得票率は43%で他の候補を大きく引き離しており、このままいけば11月の決選投票を経ずに大統領に選出される。ロベルト・ラバニャ(Roberto Lavagna)元経済生産相の得票率は約20%、エリサ・カリオ(Elisa Carrio)前下院議員は19%と続いている。

 首都ブエノスアイレス(Buenos Aires)では、投票締め切り直前の駆け込み投票で投票時間が1時間延長された。アルゼンチンでは、有権者2700万人は投票が義務づけられている。 28日の投票では上院と下院で半数の改選議席が争われたほか、一部で州知事と州議会選挙も行われた。

■夫婦二人三脚の選挙戦、現職大統領とともに勝利宣言

 投票が締め切られた数時間後、フェルナンデス上院議員は支持者の前で演説し、「われわれは大差で勝利した」と宣言、この模様はテレビでも生中継された。

 夫のネストル・キルチネル(Nestor Kirchner)大統領(57)とともに壇上に上がったフェルナンデス上院議員は、「きょうここに一緒にいてくれ、人生をずっと共にしてきたパートナー」と夫を紹介し、キスを投げた。

 選挙運動中も同上院議員は、自らの20年の政治家としての実績以上に夫の功績を強調、夫の中道左派路線を継承すると公約した。キルチネル大統領は破たんした同国経済を4年の任期中に再建し、現在でも人気は高い。

 しかし後継となるフェルナンデス議員が、インフレ率の上昇、犯罪増加、国外からの投資低迷といった国内で浮上しつつある課題を見過ごせば、難局に陥る可能性があるとの指摘もある。米シンクタンクThe Dialogueの南米担当アナリスト、Michael Shifter氏は「(フェルナンデス議員は)夫の任期中よりもはるかに困難な課題に直面するだろう。夫の時に成功したことが、自分の時にもうまくいくと思ってしまうと危険だ」と述べた。(c)AFP/Marc Burleigh