【9月20日 AFP】仏教僧による軍事政権への抗議行動が全土で広がるミャンマーで20日、仏僧ら1300人が最大都市ヤンゴン(Yangon)に集結し、雨の中をデモ行進した。今週初めに抗議行動が開始されて以来、同時行動としては最大規模となった。

 集会は3か所に分かれて行われ、市民数千人が見守った。抗議に参加する仏僧の数を見物する市民の数が上回ったのは、抗議開始後4日間で初めて。ある西側外交官は、ミャンマーの軍事政権に対する不満が高まっているしるしだと説明する。

 18日に起こった過去10年で最大規模の反政府デモに続いて始められた僧侶たちの行動は、抗議の最前線を担う状態まで拡大した。また抗議期間の長さも過去20年間で最長となった。

■警察介入なし

 会場のひとつ、ヤンゴン中心部の仏塔スーレー・パゴダ(Sule Pagoda)では、600人以上の僧侶が祈りをささげる姿を見ようと、2000人近い市民が読経しながら集まった。大降りの雨の中、大学生を中心とする数百人が短時間、パゴダ内で「人間の鎖」を作ったが、警察は介入せず逮捕者もなかった。

 また別の400人以上の僧侶たちはデモ行進の後、同国の最も重要な仏塔、シュエダゴン・パゴダ(Shwedagon Pagoda)で祈りをささげ、すぐに解散したという。3番目のグループは350人を集め、ヤンゴン南部で地元の仏塔を目指して行進した後、解散した。
 
 アジアのある国の外交官は「抗議行動は続くだろう。僧侶らの行動は人々の政権に対するうっ積した不満を代表している」と語った。

■僧侶のデモ全土に広がる

 僧侶たちの抗議行動は、19日から全土に広がった。燃料価格の大幅値上げによりガソリン代が高騰したことが引き金となり、17日に数百人規模の集会があり、翌18日にはヤンゴンやマンダレー(Mandalay)などいくつかの都市で僧侶たちが、自分たちの行動を組織した。行進した僧侶の数は18日、19日の両日とも全国で2000人を超えた。また18日のデモに参加した僧侶の大半は、20代の若い僧たちで、中にははだしで行進した者もいた。
 
 シュエダゴン・パゴダへ向かったデモは途中、軍事政権によって17年間自宅軟禁されている民主化活動家アウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)さんが率いる野党・国民民主連盟(National League for DemocracyNLD)の本部を通過した。NLDの党員がデモ行進に仏教式のあいさつを送る風景もみられた。

■初めてパゴダ内立ち入り許可下りる

 20日、僧侶らは抗議開始後初めて、シュエダゴン・パゴダに入ることを許された。これまでは3日間、治安悪化を警戒した当局がパゴダを閉鎖していた。私服の治安警官数十人が周囲を囲み、2台以上の機動隊車両が待機していた。警察が非暴力のデモ行進に介入することはなかったが、私服警官らが参加する僧侶をビデオカメラで撮影していた。

 1962年からミャンマーを支配する軍事政権は通常、ささいな抗議行動さえも許さないが、国民に高く尊敬されている僧侶らを取り締まった場合、世論の大反発を招く恐れがあり、軍部は慎重な態度を取っていると専門家らはいう。(c)AFP