【9月19日 AFP】1986年のチェルノブイリ(Chernobyl)原発事故で爆発した原子炉を覆う新たなシェルターの建設について、仏建設大手のブイグ(Bouygues)およびバンシ(Vinci)がなど作るコンソーシアムNovarkaは17日、ウクライナ政府と4億3200万ユーロ(約700億円)の契約を結んだ。

 契約にはウクライナのビクトル・ユーシェンコ(Viktor Yushchenko)大統領とフランスのエルベ・ノベリ(Herve Novelli)貿易担当相も立ち会った。

 ユーシェンコ大統領は報道官を通じこの契約は「歴史的出来事だ」と述べた。

 契約に先立ちノベリ氏は、「記憶を新たにし、連帯と哀悼の意を表する」として世界最悪の原発事故現場となったチェルノブイリ原子力発電所を訪れ、「われわれはチェルノブイリ原発を封印することで1ページを閉じ、安全な原子力発電という新しいページを開く」と述べた。

 現在、事故原因となった原子炉および核燃料は「石棺」と呼ばれるシェルターで覆われているが、老朽化で放射能物質などの漏れが懸念されている。新しい「石棺」は鉄製で、幅190メートル、奥行き200メートルの大きさで古い「石棺」を含め現存する施設を全体を覆う。10月に着工し、2012年に完成の予定。

■最終の目的はチェルノブイリの解体

 バンシのイブチボー・ドシルギ(Yves-Thibault de Silguy)会長は、100年といわれるこの新しい「石棺」の寿命が終わるころには「チェルノブイリは存在しないだろう」と語り、「このシェルターの最終目的は『チェルノブイリ』を解体することだ」と説明した。

 これに対し、環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)フランスは「西欧諸国、特にフランスはこれで満足してはならない」と指摘。石棺は「残存する放射能性物質による核連鎖反応の危険性を払しょくできないので、決定的な解決方法とはなりえない」と警戒姿勢を崩していない。

 ウクライナ側の費用の大部分は欧州復興開発銀行(European Bank for Reconstruction and Development)が援助する。

 1986年4月26日、チェルノブイリ原発の4号炉が爆発した事故では、当時のソビエト連邦諸国であるウクライナ、ベラルーシおよびロシアをはじめ欧州各地で広範囲にわたり放射能汚染が確認された。(c)AFP/Franck Iovene