【8月27日 AFP】イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相は26日、自身の更迭を求める発言をした米国およびフランスの政治家を批判、謝罪を求めた。

 カール・レビン(Carl Levin)米上院議員と米大統領候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員は、イラクの連立政権を率いる首相を交代し、同国の国民和解を早期に実現すべきとの見解を示していた。また、フランスのベルナール・クシュネル(Bernard Kouchner)外相も、米誌ニューズウィーク(Newsweek)の取材に対しマリキ首相の退任に肯定的な発言をしたと見られている。

 イラクでは民族・宗派間の対立に改善がみられず、マリキ首相の手腕が問われている。

 バグダッドの警備が厳重な米軍管理地域グリーンゾーン(Green Zone)で記者会見に臨んだマリキ首相は「ヒラリー・クリントンとカール・レビンは民主主義国家の国民であり、民主主義を重んじるべき。2人はまるでイラクを自分の土地と思っているかのような発言をしている。自身の政治生活で、イラクが抱えているような不和を体験したことがなく、和解の意味も知らずに判断を下している」と両議員を批判。

 さらに、「フランス外相はつい先日イラクを訪れ、われわれは訪問を歓迎した。この会談を皮切りに両国間の新たな関係が構築されると楽観視していた。同外相がイラク政府の交代を呼びかけていると知り、外交からは程遠い突然の発言に驚いている」と述べ、前週イラクを訪れたクシュネル仏外相を非難した。

 マリキ首相はまた、フセイン政権を崩壊させた米軍主導のイラク進攻に反対したフランスについて、現政権が故サダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領の支持者に同調していると非難、同政府に対し謝罪を要求した。

 クシュネル外相に対するマリキ首相の怒りは、24日にニューズウィーク誌のウェブサイトに掲載されたインタビュー記事に端を発したものと見られる。同誌は、クシュネル外相が「多くの人々がマリキ首相の交代を望んでいるが、(ジョージ・W)ブッシュ(米)大統領(George W. Bush)がマリキ首相に好感を持っているようなので、交代が実現するかは分からない。いずれにせよ、イラク政府は機能していない」と発言したと報じている。(c)AFP/Jay Deshmukh