【8月15日 AFP】イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領は14日、「アフガニスタンで政府軍や国際治安支援部隊(ISAF)との戦闘を続けるイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の武装グループに、イラン政府が武器供与を行っている」との米英政府による糾弾を否定する声明を発表した。アフマディネジャド大統領は2005年の大統領就任以来、初めてアフガニスタンの首都カブール(Kabul)を公式に訪問中。今回の発言は、ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領との共同記者会見の席で述べられたもの。

 アフマディネジャド大統領は武器供与疑惑について「まったくの事実無根。わが国は全力を挙げて、アフガニスタンの政治プロセスを支援している」と語り、米英両政府の主張を真っ向から否定。

 その上で「アフガニスタンの安定はイランにとっても望ましい」と語り、国境を接するアフガニスタンで治安問題が発生すれば「最大の影響を受けるのはイランだ」と語った。

 共同記者会見ではカルザイ大統領も、米英両政府の主張を裏付ける証拠は何もないとの認識を示している。

 同時にカルザイ大統領は、イラン、米国の双方と友好関係を築いているアフガニスタンが「両国の融和に役立てるなら、わが国にとっても非常に喜ばしい。しかし、最終的には両国次第だ」と語り、双方に歩み寄りを求めた。

 イランによるタリバンへの武器供与疑惑については、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官が今年6月、アフガニスタンに大量のイラン製武器が流入していることを公表。「(武器流入の)事実をイラン政府が関知していないはずがない」と語っている。

 米政府による指摘をイラン政府は従来から強く否定してきた。イラン政府は、1996年から2001年までのタリバン政権とは、激しい敵対関係にあった。
 
 米国は2001年11月にタリバン政権を崩壊させて以降、タリバン武装勢力の掃討を目指すISAFに対して世界最大の部隊を提供している。

 カルザイ大統領は今月、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領との会談を前に「わが国が抱える問題にとってイランは支援者」であり、テロや麻薬との戦いにおいてイランと協力関係にあると語り、周囲を驚かせた。

 この発言に対してブッシュ大統領は後日、「イランがアフガニスタンにもたらす影響が果たして肯定的なものかどうか、慎重に判断したい」と語り、態度を明示していない。(c)AFP/Waheedullah Massoud