【8月3日 AFP】ロシア下院議員らによる北極遠征隊が北極点真下の海底到達に成功し、海底にロシア国旗を立てたとの報道を受け、米政府は2日、これを北極点海底の領有権とは別問題と退けた。

 米国務省のトム・ケーシー(Tom Casey)副報道官は、遠征隊が鉱物が豊富で広大な北極海海底の領有権を示すために、海中でも腐食しないチタン製のロシア国旗を設置したとの報道に対し、「遠征隊が金属製の旗を立てたのか、ゴム製の旗を立てたのか、また海底にシーツを広げたのか知らないが、いずれにしても、この件は法的権利もないし法的効力もない」と強調した。

 また、「われわれはこれを実質的な領有権の主張と見なしていないし、だれかほかの人がそうみなしているというのを聞いたこともない」と述べた。

 同日先刻、ロシアの北極遠征隊が2隻の小型潜水艇「ミール1(Mir-1)」と「ミール2(Mir-2)」で北極点真下の海底到達に成功し、ロシア国旗を設置した。遠征隊はこの海底をロシア大陸棚の最北端の境界として制定したい意向だ。

 ただし、ロシア側の主張は米政府をはじめ世界の大半の国から冷ややかに受け止められた。

 ケーシー報道官によると、ロシア側の主張は国連海洋法条約(United Nations Convention on the Law of the Sea)に基づいているが、米国はその条約に調印していないと指摘。また、たとえ条約に基づくものだとしても、根拠が弱いとの見解を示した。(c)AFP