【6月25日 AFP】米下院は、サウジアラビアに対する経済援助を全面的に禁止する法案を可決した。同国を「テロとの戦い」の同盟国とみなすジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権に対抗する決定だ。

 同法案は、2008年度の対外援助関連歳出法案に盛り込まれる。対外援助の総予算は342億ドル(約4.2兆円)。

 下院では以前にも、サウジ援助をめぐる同様の法案が可決されているが、ブッシュ政権は「テロとの戦い」を口実に適用を拒否し続けてきた。今回のものは、その「抜け穴」の封じ込めを狙った改正案だ。

 改正案の作成は、イスラエル支持派のアンソニー・ワイナー(Anthony Weiner)議員(民主党、ニューヨーク州選出)が推進。対外援助法案により「認められた援助金は、サウジアラビアに対するいかなる援助にも使用されてはならない。また不履行も認められない」と明記されている。

 石油産出国のサウジアラビアは米国の主要な援助対象ではないが、ブッシュ政権は同国に対テロ対策と称して2005年度と2006年度に総額250万ドル(3億1000万円)を上回る援助を行っている。

 一方、サウジアラビアの諮問評議会(Shura Council)のMohammed al-Zulfa氏は今回の法案可決について、「米議会が人権や信仰の自由をめぐり、わが国政府に改革を要求するときの典型的なやり方」と分析し、「これが効果的と考えているのなら、米議会や団体は判断を誤っている」と切り捨てた。(c)AFP