【5月29日 AFP】松岡利勝農水相の自殺から一夜明けた29日、この事件を報道する主要各紙の論調は、松岡氏の自殺については安倍首相にも間接的に責任があり、安倍政権へ与える影響は大きいとするものが目立った。

 政治資金の事務所費問題や緑資源機構の官製談合事件などで疑惑の渦中にあった松岡農相は28日、議員宿舎の自室で首を吊って自殺を図った。

 同日夕、松岡農水相自殺の報を受けた安倍首相は、「任命権者として、自身の内閣の閣僚が取った行動に対して責任を感じている」と記者団に語った。

 松岡氏の自殺を、「安倍政権にとって発足以来、最も深刻な事態」と評した毎日新聞の社説は、安倍首相が松岡農相をかばい続けたのは、同農相の辞任で政権が痛手を受け自身の政治生命も危うくなると危惧によるものだったと見る。

 「自民党内からも辞任を求める声があったにもかかわらず、(安倍)首相は『農水相は説明を果たした』と農相をかばい続けた」とし、「悲劇的な結末」は、「首相がけじめをつけてこなかったツケ」ではないかと論じている。

 日経新聞も同様に、与党内からの辞任要求の声に対し、安倍首相が農水相を頑なに擁護した点を指摘。「こうした首相の対応が適切であったかどうかが、今後厳しく問われることになろう」と断じた。

 産経新聞も社説のなかで、「松岡氏を閣僚に起用し、疑惑を追及されても擁護してきた安倍晋三首相の責任も小さくない。参院選を控え政権にとって大きなダメージだ」と述べている。

 保守派の期待を背負って2006年9月に首相の座についた安倍首相だが、最近は、側近らの度重なるスキャンダルによって支持率が低下していた。それでも、7月22日の参院選では自民公明の連立政権が勝利を収めるとの見方が優勢だった。

 首相として初めて迎える国政選挙で、たとえ与党が敗北したとしても衆院での過半数は変わらず自民の優位は変わらないが、安倍首相にとっては大きな痛手となるとみられる。(c)AFP