【2月10日 AFP】地下鉄への飛び込み自殺が急増しているパリで、フランス国鉄(SNCF)が自殺志願者に「地下鉄への飛び込み以外の方法」を選ぶよう呼び掛けるキャンペーンを開始する。

 パリ首都圏では平均2日に1回、電車への飛び込み自殺が発生しており、飛び込みによる年間自殺者数は2007年の148人から2008年には20%増え、181人に上った。

 SNCFの首都圏域を統括するジャンピエール・ファランドゥ(Jean-Pierre Farandou)氏によると、特にラッシュアワーの飛び込みが1年間で72%の激増を示した。

 飛び込みがある度に約10万人の動きに影響が出る上、約100本の運行のずれがその日1日続き、ただでさえ限界いっぱいの首都圏通勤網が大打撃を受ける。

 こうした状況を受けSNCFは、自殺するという行為の「根本問題には取り組まないが、自殺の手段に電車への飛び込みを選ばないよう」呼び掛けるキャンペーンを計画していることを同氏は明らかにした。乗務員や駅職員らが、自殺するおそれのある人を発見する訓練を受け、飛び込みを防止することなどができるとも述べ、また啓蒙活動で飛び込みが激減したカナダの例を挙げた。パリの地下鉄網を運行するパリ市交通公団(RATP)と共同キャンペーンを行うという。

 ファランドゥ氏は、電車への飛び込みは決して「確実な方法」ではなく、多くの人が身体に障害を負って生き残っている結果を、自殺志願者はよく理解すべきだと語った。

 全国的に飛び込み自殺が増加しているのはパリの地下鉄網のみの現象だが、理由は判明していない。フランス全体での2008年の自殺者数は1万人を上回ったが、この総数自体は2000年以来大きくは変化していない。(c)AFP