【5月17日 AFP】ロシアのペンザ(Penza)州で「最後の審判」を信じるカルト教団が前年11月から洞穴に立てこもっている事件で16日、先に洞穴内で亡くなったメンバーの遺体が腐敗し毒性のガスを発生したため、立てこもっていたメンバー9人全員が退去した。地元検察当局が明らかにした。

 最後に残っていたのは女性8人と男性1人で、検察当局広報官によると2人の遺体が見つかった後、9人が洞穴から出てきたという。現場はモスクワ(Moscow)の南東560キロのペンザ州のニコルスコエ(Nikolskoye)のはずれにある。

 インタファクス(Interfax)通信は地元当局者の話として、洞穴内で腐敗したメンバー2人の遺体から発生した「毒性ガスによる中毒の危険性が非常に高まった」ため全員が退去したという。

 ロシア通信(RIA)によると通気口からもその臭いがしたという。地元当局者は「専門家が遺体を運び出す際に残りのメンバーに声をかけたところ、メンバーが洞穴を出ることに同意した」と話している。

 州副知事はテレビ局に対し、生き残ったメンバーは「医師の診察を受けている」と述べた。ロシア通信はそのうちの3人が隣国ベラルーシ国籍だと報じている。

 亡くなった2人はいずれも女性で、洞穴から運び出された後、布にくるまれた泥まみれで腐敗した遺体の一部がテレビで放映された。

 これより先に洞穴から出ていたメンバーは2人の死因についてタス通信(ITAR-TASS)に対し1人は断食のため、もう1人は原因不明の病気と説明している。

 検察当局広報官は遺体を調べて刑事事件として立件するかを決めるとしている。

 先に洞穴を出たメンバーの多くはニコルスコエに近い村で、教祖ピョートル・クズネツォフ(Pyotr Kuznetsov)氏の小屋で最後の審判を待っているという。(c)AFP/Conor Humphries