【7月2日 AFP】ローマ法王庁は1日、法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)が中国のカトリック信者に宛てた前月30日の書簡について、「中国との対立を望んだものでも、同国政府を糾弾する内容でもない」との見方を発表した。

 伊ANSA通信が報じたところによると、バチカン広報局長のフェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)神父は、書簡は「教会内外の誰を非難した内容でもない」とし、「法王は常に礼儀正しく穏やかに話す。それは自由の侵害や容認できない行為、教会内での対立について話すときも同様だ」と語った。

 また、「たとえ分裂しているように見えたとしても、カトリック教会はひとつだというのが法王の考えだ」とも述べた。

 法王は問題の書簡の中で、中国に対し「真の宗教の自由」を尊重するよう求め、同国政府が公認している「中国カトリック愛国会」は「バチカンの教義と相いれない」と非難。カトリック教会の司教はローマ法王庁によってのみ任命されるべきで、「愛国会」が独自に行う司教任命は認めないと述べた。

 中国側は直ちにこの見解を拒絶し、バチカンと中国の関係改善のため、「新たな障害を作り出すのは得策ではない」と表明していた。

 中国のカトリック教会は、ローマ法王を強く信奉する地下教会と、1957年に法王の承認なく設立された政府公認の「カトリック愛国会」とに分かれている。
 
 中国は、バチカンが台湾政府を承認し外交関係を樹立していることに反発し、1957年に国交を断絶している。(c)AFP