【コム/イラン 6日 AFP】イランの聖地コム(Qom)で、イスラム教シーア派のアヤトラ(高位聖職者)たちが、インターネット画面に向かう。ここでは世界中から電子メールで送られてくる質問に対し「精神的な指導」をするためにインターネットが使用されている。プライベートな問題には、コンピューターが役に立つ時もあるという。

1. 大アヤトラ・サネイ(Sanei)師のインターネット・サービス責任者、TASHIN BADRI氏、8秒
「こんな質問も届きます。シリコンを入れる豊胸手術をしても良いのでしょうか」

 聖地コムの大アヤトラのオフィスで豊胸手術について議論が行われるというのは予想外ではないだろうか。

2. 大アヤトラ・サネイ師のインターネット・サービス責任者、TASHIN BADRI氏、9秒
「質問は50か国程から届きます。欧州、米国、アラブ諸国とさまざまです」

 敬けんなイスラム教信者たちからの質問は多岐にわたる。ダイエット・コーラを飲んでも良いか。テロ行為についてアヤトラはどう思うか。特定の性的行為がイスラム的かどうか。サイバー聖職者たちが、可能な限りこれらの質問に答え、答えられない質問は1人の大アヤトラに回される。30人しかいないイスラム教シーア派大アヤトラの中で最も改革的なこの人物は、豊胸手術といった微妙な問題に至るまですべての質問に答える。

3. 大アヤトラ、サネイ師、10秒
「豊胸手術についての質問はよく届きます。いつも同じように答えますよ。イスラム教ではあなた自身の健康が損なわれない限り、豊胸手術も認めていますと」

 男性による女性の扱いについての考えも聞いた。男性優位のイランでは、たびたび聞かれる質問だ。

4. 大アヤトラ、サネイ師、10秒
「わたしは人々を導くよう心がけています。妻を虐待してはいけないと説いています。女性は奴隷ではないのです」

 インターネットを使用しているのはサネイ師だけではない。多くのシーア派宗教指導者らがコムのイスラム教情報センターで活動しており、イスラム教の教えを世界中に広めているのだ。中には30言語以上で書かれたサイトもある。

5. Islamic Internet Centerのマネジャー、IBRAHIM LAJAVARDI氏、11秒
「インターネットは素晴らしい技術です。イスラム教を広めるために重要な役割を果たし、多くの人がイスラム教へ改宗しました」

 信者たちが知らないのは経済的な事情だ。同サイトのサーバーは米国にある。アヤトラたちと敵対する米国とは、意外な組み合わせだ。(c)AFP/STEFAN SMITH