【4月8日 AFP】南米チリで7日、1973年に死亡した、ノーベル文学賞受賞の詩人パブロ・ネルーダ(Pablo Neruda)氏の遺体掘り返し作業が始まった。ネルーダ氏はがんで死亡したとされていたが、毒殺された疑いが浮上し、死因究明のため掘り返されることになった。
 
 1971年にノーベル文学賞を受賞した左派詩人のネルーダ氏は1973年、当時のサルバドル・アジェンデ(Salvador Allende)大統領の社会主義政権に対するアウグスト・ピノチェト(Augusto Pinochet)陸軍司令官(後に大統領に就任)の軍事クーデターから、わずか12日後に死去した。これまでネルーダ氏の死因は前立腺がんとされてきた。

 だが2011年になってネルーダ氏の運転手だった男性が、ピノチェト軍事政権による毒殺の可能性があると指摘し、さらにチリ共産党も、同氏の健康状態は死亡する前日まで良好で、がんが進行していた兆候は見られなかったとして告発した。これを受け同年6月、ネルーダ氏の死因に関する調査が始まった。

 ネルーダ氏の墓は故郷イスラネグラ(Isla Negra)にある。捜査官および検視官らによる掘り返し作業は7日午後、周囲をテントで覆い、開始された。

 一方、公式に発表された死因を受け入れているネルーダ氏の遺族や作品の管理団体は2011年、同氏が暗殺されたことを示す証拠などないとの声明を発表していた。(c)AFP