【2月9日 AFP】パレスチナ自治区にある不妊治療クリニックは6日、イスラエルの刑務所からひそかに持ち出されたパレスチナ人受刑者4人の精液を使った人工授精に成功したと発表した。

 パレスチナでは以前にも、イスラエルの刑務所に終身刑で服役中のアマル・ジベン(Ammar Ziben)受刑者の精子によって妻のダラル(Dallal Ziben)さんが妊娠し、昨年8月に帝王切開で男児を出産している。

 自治区ナブルス(Nablus)にあるラザン不妊治療クリニックのサーレム・アブ・ヘイザラン(Saalem Abu al-Kheizaran)医師は記者会見で「アマル・ジベン受刑者の成功例が、他の受刑者たちの励ましとなった」と述べた。

 ヘイザラン医師によると、クリニックにはここ数か月で数十の精子サンプルが届いている。一部は保管状態が適切でなかったため使えなかったが、残りの精子で4件の人工授精に成功したという。同医師は「サンプルは夫婦の家族の立ち会いの下、的確な方法で受け取った」と述べ、また残りのサンプルは今後使用するために冷凍してあると明かした。

 記者会見には昨年出産したダラルさんと共に、服役中の夫の精液で妊娠したとされる妻たち4人も同席した。そのうちの1人、ラマー・シラウィ(Ramah Silawi)さんは夫のオサマ・シラウィ(Osama al-Silawi)受刑者(55)について、4つの終身判決を下され、1993年から服役していると語った。

 一方、イスラエル刑務所管理当局のシバン・ワイツマン(Sivan Weizman)報道官はAFPの取材に対し「そうした噂は認識している」とした上で、刑務所訪問には厳しい制約があり、精子が持ち出されたという話は「非常に疑わしい」と語った。イスラエルの刑務所に収容されているパレスチナ人受刑者は、配偶者の訪問を許可されていない。

 ワイツマン報道官はさらに、精子が生殖能力を維持できるのは非常に短時間なため、人工授精を成功させるには非常に敏速な措置が必要だとし、「刑務所を訪れる女性と受刑者が直接接触することはないし、退出する際にも検問ゲートを通らなければならない」と補足した。(c)AFP