【12月5日 Relaxnews】ぜいたくなビュッフェなどでの飽食で知られるアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)で、浪費をしない節度ある食事を推奨するべく、量り売りを導入したレストランが登場した。

 トレンド情報サイト「スプリングワイズ(Springwise)」によると、ドバイ市内に多数あるぜいたくなビュッフェ形式のレストランでは食べ残しが多く、本来なら何の問題もない食料が廃棄されている。これに対抗して、ホテルチェーン「アルジャウハラ(Al Jawhara)」を所有する企業ルータハ・ホテルマネジメント(Lootah Hotel Management)は新レストラン「グラモ(Gramo)」をオープンした。

 量り売りレストランは決して目新しいものではない。ブラジルではサンパウロ(Sao Paulo)市内を中心に、ランチ客が自分の食べたい分だけを皿に取るという量り売りモデルを採用するレストランが増えている。

■イスラム教特有の食料廃棄問題

 だが、食料廃棄の問題はUAEでとりわけ深刻だ。イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」の祝日などでは特に、主人のもてなしの手厚さがゲストにふるまわれる食事の豪華さによって測られるためだ。

 例えば、アブダビ(Abu Dhabi)ではラマダン中に1日当たり推計500トン、隣のドバイでは1850トンの食料が廃棄されている。アブダビの環境当局はこの問題への対応策として、国民に調理する食事の量を減らし、日没後の食事「イフタール(Iftar)」のビュッフェではよく考えてから皿に食事を盛るよう呼び掛けてきた。

■欧米の食料廃棄量も多い

 国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganizationFAO)によると、世界の富裕国で廃棄される食料の量は年間およそ2億2200万トンで、サハラ以南のアフリカで生産される食料の総量(2億3000万トン)に匹敵する。

 さらに詳しくみると、欧州と北米の消費者は1人当たり年間95~100キログラムの食料を廃棄している。対照的に、サハラ以南アフリカと南アジア、東南アジアの人びとの食料廃棄量は、1人当たり年間わずか6~11キログラムだ。

「グラモ」では、メニューから注文する形式と、ビュッフェ形式を選択することが可能だ。アラブの伝統料理のほか、世界各国の料理も提供している。スプリングワイズによると、ルータハ・ホテルマネジメントは、このレストランが成功した暁には同じモデルを採用したレストランをさらに増やしていきたいとしている。(c)Relaxnews/AFPBB News