【12月31日 AFP】チリのサンホセ(San Jose)鉱山の落盤事故で地下に10週間閉じ込められて救助された作業員33人のうち4人が、療養給付を打ち切られることになった。救出劇で有名になり世界中を飛びまわっている間に、給付要件とされる健康診断を受けそびれたためという。

 10月13日の救出劇は世界中が見守り、作業員らは一躍スターとなった。各国のメディアからは次々と招待や出演依頼が舞い込み、33人の快挙を映画化する話も持ち上がっている。

 しかし、11月にニューヨークシティマラソン(New York City Marathon 2010)に出場したエディソン・ペニャ(Edison Pena)さんをはじめ、オマル・レイガダス(Omar Reygadas)さん、ダリオ・セゴビア(Dario Segovia)さん、カルロス・ブゲニョ(Carlos Bugueno)さんの4人が、療養給付を受け取れなくなった。

 労働保険を運営するチリ保険協会のホルヘ・ディアス(Jorge Diaz)氏は「対象者が医師の指示に従わない場合は給付を停止すると、労災法33条にはっきり書いてある」と述べている。

 各地で人びとの励みとなるスピーチを行っているレイガダスさんは、作業員たちの大半はまだ心理的に回復していないと今回の措置を批判し、「われわれは身体的なものではなく、心理的な問題を抱えている。だから休職中でも、体はどこへでも行ける。かえってセラピーのようなものだ。なのに保険協会は払ってくれようとしない」と述べ、単なる労災としてではなく心理的問題に対する療養給付が行われるべきだと主張した。

 33人は救出直後に健康診断を受け、その後はチリ保険協会による心理療法を受けながら有給で休職している。うち14人の治療が12月に終了した。治療にあたった精神科医のひとりはAFPの取材に、作業員らはもう仕事に十分戻れると語った。(c)AFP/Dave Clark