【10月12日 AFP】米国における社会主義バッシングや富裕層が尊敬されていることを考えると意外かもしれないが、多くの米国人は、現状よりもずっと公平な富の分配を望んでいるとの調査結果がまとまった。

 調査を行ったのはハーバード大(Harvard University)のマイケル・ノートン(Michael Norton)教授とデューク大(Duke University)のダン・アリエリー(Dan Ariely)教授。米国人5522人を対象に、米国の富の分配の現状とその理想的なありかたについて質問した。

 その結果、現実には米国の上位20%の富裕層に国全体の富の84%が集中しているにもかかわらず、調査対象となった人々は、上位20%に国富の約59%が集中しているにすぎないと考えていることが分かった。

 現在の米国の富の不平等は史上最高レベルに近く、上位1%が米国全体の富の約50%を保有していると推計されている。ノートン、アリエリー両氏によるとこれは、1920年代の大恐慌(Great Depression)の直前のレベルよりも高いという。

■実態はともかく、強い「公平志向」

 一方、米国はどのようにあるべきかとの質問に対しては、回答者は米国を実態よりもずっと平等な社会だと考えているにもかかわらず、さらに「その誤った認識よりもはるかに公平な富の分配」を希望するとの回答が多かったという。

 国名を知らせずに理想的な富の分配モデルを選ばせたところ、調査対象者の約92%が現在の米国よりもスウェーデンに近いモデルを選んだ。

 また、民主党支持者のうち93.5%、共和党支持者の92.0%がスウェーデン型のモデルが望ましいと回答するという「驚くべきレベルの一致」があった。さらに富裕層と貧困層がスウェーデン型のモデルを選んだ割合もほぼ同じで、富の再配分を好まないとされる共和党支持者や富裕層も含め、米国のすべての人口層が、現状の富の分配よりも公平な分配を望んでいることが分かったとしている。

 調査結果は、学会誌「心理科学の視点(Perspectives on Psychological Science)」に掲載される予定。(c)AFP/Andrew Beatty