【7月25日 AFP】米国でスパイとして訴追されたロシア人10人は今月9日、冷戦時代さながらのスパイ交換によってロシアに帰ったが、「赤毛の美人スパイ」として騒がれたアンナ・チャップマン(Anna Chapman)さんをめぐる興奮は一向に冷めやらない。

 9日、モスクワ(Moscow)の空港に到着すると、ほかの9人とともにバンに乗り込んで立ち去ったチャップマンさんは、その後公の場に姿を現さず、居場所も明らかにされていない。

 どこかで活動の報告をしているという見方が有力だが、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手フェースブック(Facebook)の自分のページを更新したり、帰国後初のインタビュー権を獲得しようというマスコミと交渉する時間はあるようだ。

■フェースブックのページを更新

 というのは到着から数時間後、チャップマンさんはフェースブックに英文豪チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)の『二都物語(A Tale of Two Cities)』を引用し、『あれは最高の時代であり、最悪の時代でもあった』と謎めいたメッセージを早速残した。

 14日にはエレノア・ルーズベルト(Eleanor Roosevelt)米大統領夫人の言葉を引用し「人は真に恐れを克服したすべての経験から力や勇気、自信を得る。すると自分にこう言えるからだ。『前にもこの恐怖に耐えたことがある。次にやって来ることも対処できる』」と書き込んでいる。

■25万ドル提示してメディアに接触?

 チャップマンさんは今回米当局に拘束される以前からフェースブックの愛用者だったが、セキュリティの設定をしっかりしていなかったため、メディアはブログに掲載した写真やテキストを好きなだけ入手できた。驚くことにその後も定期的にブログは更新され、非常に多くの「友人」が増えたが、大半は報道関係者だった。

 チャップマンさんが現在インターネットに接続できる環境にあるのか、またフェースブックを自分自身で本当に更新しているのかは定かではない。彼女の名前を使ったページもフェースブックに次々と登場している。

 これまでチャップマンさんはどのメディアのインタビューも受けていないが、スパイ交換の際の釈放条件として、この件に関するインタビューで得る収入はすべて米政府に差し出すことが義務づけられている。しかし、チャップマンさんがインタビュー料として25万ドル(約2200万円)を提示して、メディアに接触を図っているとの報道もある。(c)AFP/Anna Malpas