【4月11日 AFP】米国の家庭に養子縁組されたロシアの少年が、「深刻な精神病的問題」があるなどとして、米国の義母によってモスクワ(Moscow)に子ども一人で送りかえされるという出来事が起きたことを受け、ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は、米国人によるロシア人児童の養子縁組みを凍結すると表明した。

 ラブロフ外相はロシアのテレビのインタビューに対し「米国人家族による養子縁組みの凍結を提案し、露外務省として強く主張することを決めた」と語った。ロシア人の子どもを養子に迎える米国人家族の責任を定めた規約に両国が合意するまで、米国人による養子縁組を停止するという。

 米国の義母は少年を育てることができなくなったと述べているが、ロシアのメディアは今回の出来事を強く非難している。

 ラブロフ外相は、「米国側に(規約の合意をしようと)提案してきたが、米国はこれを退けてきた。しかし今回の出来事は最後の一線を超えた」と語り、今回の出来事を契機に米国人による養子縁組の凍結を決めたことを認めた。

■米露両国が経緯を調査

 少年はロシア極東の沿海地方出身で、2009年に養子縁組された。現在ロシア当局が、養子縁組が行われた経緯を調べているという。

 少年は8日、米ワシントンD.C.(Washington D.C.)からモスクワのドモジェドヴォ(Domodedovo)空港に、義母の手紙を持って1人で到着した。手紙の内容は、少年が「暴力的」で「深刻な精神病的問題」を抱えているため、養子縁組を破棄したいというものだった。ウェブサイト「Life.ru」が、手紙の写真を掲載した。

 ジョン・ベイル(John Beyrle)駐ロシア米国大使はテレビでコメントし、「わたしと妻は深い衝撃を受けている。犯罪性がなかったか調べるため、あらゆる点を調査中だ」と語った。

 ロシア教育省高官のAlina Levitskaya氏は9日、ロシア通信(RIA)に対し、米国人家族との養子縁組を仲介する米団体「World Association For Children and Parents」の認可を凍結する方針を示した。(c)AFP