【9月2日 AFP】中国の国営鉄道会社、京滬高速鉄道(Beijing-Shanghai Express Railway)が北京と上海を結ぶ特急用の新路線を建設中、3000年以上前の古代遺跡を破壊する事故が起こった。

 2日の国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)によると、事故が発生したのは中国東部・南京(Nanjing)市内の線路建設部分で事故後、工事は停止された。京滬高速鉄道には、工事区域内に遺跡があることに対する警告を無視したとして、最高50万元(約800万円)の罰金が課される。

 同市の文化財を管轄する南京市文物局(Nanjing Cultural Heritage Bureau)のYang Qinghua副局長は「(鉄道)建設を継続する前に、この場所の貴重な文化的遺産を発掘することが必須。これらを無視することはできない」と強調した。

■専門家の警告無視して工事を強行

 同副局長によると、鉄道会社側は前週、古都の遺跡がある同地域内の工事をやめるよう勧告した専門家の警告を無視し、遺跡のうち2000平方メートル近い部分を損壊した。 

 中国では最近、いかなる犠牲を払ってでも爆発的な経済成長を追求しようとする主張と、金銭では買うことのできない国の貴重な歴史的遺産の保存を求める意見との対立が激しくなっており、今回の事故はそうした論争に再び火をつけた。

 この遺跡からは紀元前16世紀から同11世紀に栄えた殷(商)王朝(Shang Dynasty)時代および、その後の紀元前11世紀から同3世紀の周王朝(Zhou Dynasty)の人骨や陶器などが出土している。

 Yang副局長によると、市当局では当初、京滬高速鉄道に路線位置の変更を要請したが、鉄道会社側が国家的に重要性なプロジェクトだと述べて拒否した。その後、市当局は法行使によって1年間の工事中止を強制しなければならない旨を通告し、工事再開する前にすべての遺跡を発掘するため500万元(約8000万円)を支払うよう命じていた。

 中国鉄道省の広報担当者はチャイナ・デーリーの取材に対し、今回の事故について認識していないと述べ、しかしそのような事故は「起きてはならなかった」と語った。(c)AFP