【9月7日 AFP】スーダンの首都ハルツーム(Khartoum)に前月、イタリア風の贅を尽くし、リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐をもほうふつとさせる超高級ホテル「ブルジュ・アル・ファイス(Burj al-Fateh)」がオープンした。

 ナイル川に望む18階建て、230室のホテルは、リビア外国投資会社(Libyan Foreign Investment CompanyLafico)が出資し、イタリアの建築家が設計した。構想から完成まで9年、総工費は1億3000万ユーロ(約200億円)を要した。

 卵の形をしているため、ハルツームの住民の間では「カダフィの卵」と呼ばれているが、Laficoのプロジェクト・マネージャーのEmhemmed Ghula氏は、「当社とカダフィ家とは一切関係がない」と少々迷惑そうだ。

 米国は2006年、カダフィ大佐が大量破壊兵器開発計画を放棄したことを受け、リビアを「テロ支援国家」指定から解除した。リビアは昨今、外国への投資を積極的に進めている。このホテルは、「二国間の関係強化のしるしとして、リビア政府からスーダン政府へ贈られたもの」(ホテル幹部)なのだという。スーダンは、依然として米国のテロ支援国家に指定されている。

■地元民には、コーヒー1杯にも手が出ない

 プレジデンシャル・スイートは1泊4000ドル(約44万円)。スタンダードでも1泊250ドル(約2万7000円)だ。家具などの調度品はヨーロッパ、主にイタリアから輸入した。会議室やモール、レストランも完備される。フランスからシェフを招聘。「リキシャ」なるアジアン・レストランも入る。

 スポーツジムの年会費は2250ドル(約24万円)だが、国民の40%が貧困層という同国では、コーヒー1杯にも手が出せないという市民が大半だ。ホテルのそばにある泥壁の集落は、8月の大雨による洪水で水没したままだ。(c)AFP/Jennie Matthew