【7月30日 AFP】雪男(イエティ、Yeti)のものとされる毛髪のDNA鑑定が現在、英・オックスフォード(Oxford)とカーディフ(Cardiff)の研究所で行われている。毛髪は、初期鑑定で、ヒトの毛髪と類人猿の毛髪の特徴を併せ持っていることが明らかになっている。

 この毛髪は、雪男の存在を信じるディプ・マラク(Dipu Marak)という人物が、インドのメガラヤ(Meghalaya)州の密林地帯で収集したもの。同地では2003年に3日連続で雪男が目撃されたという。この毛髪は長さが3.3から4.4センチ、毛小皮に覆われ、太くてごわごわした手触りでカールしており、一見したところイノシシの毛のようだという。

 今年に入ってBBCのローソン(Alastair Lawson)記者がこれをもらいうけ、英国の生物学者、イアン・レドモンド(Ian Redmond)氏に託した。レドモンド氏とオックスフォード・ブルックス大学(Oxford Brookes University)のチームは24日、高倍率の顕微鏡で、この「雪男の毛髪」をツキノワグマ、ヤク、オランウータン、ゴリラの毛髪、そしてレドモンド氏自身の毛髪と比較した。すると、ヒトとオランウータンの毛髪に少しずつ類似していることがわかった。

 さらに、1950年代に世界最高峰エベレスト(Mount Everest)の登頂に世界で初めて成功したエドモンド・ヒラリー(Edmund Hillary)卿が収集した毛髪とも比較。外見的には類似していたという。

 ただし、レドモンド氏にはひとつの懸念がある。この毛髪が新種の動物のものであった場合、この動物を捕獲して博物館に展示しようと現地に人が押し寄せ、生息数の少ないこの動物を脅かすことになると言うのだ。「そうならないよう、インド政府と州政府との話し合いの場を持ちたい。(動物を絶滅に至らしめた)19世紀のやり方ではなく、21世紀のやり方で動物と接したい」とレドモンド氏は話している。(c)AFP