【6月19日 AFP】ロック歌手で活動家のボブ・ゲルドフ(Bob Geldof)氏とロックバンド「U2」のボーカル、ボノ(Bono)氏は18日、パリ(Paris)で記者会見し、主要8か国(G8)はアフリカ支援の約束をほとんど果たしていないと非難し、欧州連合(EU)の次期議長国フランスはこうした「恥辱」に終止符を打たなければならないと主張した。

 ともにアイルランドのロックンロール界を代表する2人は、G8が2005年に発表した「2010年までにアフリカに220億ドル(約2兆4000億円)を追加支援する」との宣言は、現在のところ14%しか達成されていないと指摘。ゲルドフ氏は、欧州とアフリカ大陸の最短距離を引き合いに出し、「たまたま幸運にあずかった人々が、わずか12キロの距離に住む貧しい人々に富をほんのわずかしか与えないなんて、恥辱以外の何物でもない」と語った。 

 会見にはフランスの元男子プロテニス選手で歌手のヤニック・ノア(Yannick Noah)氏やベナンの歌手アンジェリーク・キジョー(Angelique Kidjo)氏らも同席した。

 フランスは前年、アフリカへの支援を削減したが、同国は7月からEU議長国となるため、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領の責任は重いと2人は口を揃える。「ヨーロッパの信頼性は今、危機にひんしている」とボノ氏。

 一方で、アフリカ支援は現地でめざましい成果を挙げていると2人は指摘した。例えば、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria)のプログラムで、1か月あたり約10万人の命が救われている。エイズ治療を受けることができる患者は5年前には5万人にすぎなかったが、現在では200万人以上にのぼる。また、1999-2005年には2900万人の子どもが学校に入学することができた。 

 ボノ氏は、6%というアフリカ全体の経済成長率を挙げ、「アフリカは離陸しようとしている。われわれ(ヨーロッパ人)は彼らの隣人だ。だから彼らのパートナーにならなければならない。失敗したら彼らと特別な関係を結ぶ権利はない」と語った。(c)AFP