【4月30日 AFP】列にはきちんと並び、障害者や妊婦がいれば席を譲る――こうした、英国人ご自慢の「マナーの良さ」が次第に崩れ始めていることが、ITV1のテレビ番組「Tonight」の調査結果で明らかになった。

 28日公表された調査は、成人の視聴者約2800人を対象に行われた。「英国人のマナーは10年前に比べて悪くなった」と答えた人は全体の86.2%、「悪いマナーは、この国が抱える最大の問題」と答えた人は56.5%にものぼった。

 最も悪いマナーを挙げてもらったところ、「唾を吐くこと」が27.6%、「悪態をつくこと」が20.2%で、「列への割り込み」「携帯電話で大声でしゃべること」「プリーズやサンキューを言わないこと」「人前でげっぷやおならをすること」と続いた。

 また、75%近くが「サッカーの花形選手のふるまいが『悪い手本』になってマナーの低下を助長している」と答えた。

 だが、子どもに最も悪い影響を与えているものは何かとの問いには、63.8%が「親の行いとしつけの欠如」を挙げ、「サッカー選手や有名人」は15.9%、「テレビ番組」は5.4%にとどまった。「親が子どもに基本的なマナーを教えていない」と答えた人は90%を超えている。

 あるマナー講師は「目上の人が敬われなくなった。敬いなさいと教える人もいない。社会の機能が停止しつつあることを示す一例だ」と分析する。

 礼儀推進キャンペーンを展開するエッシャー・ランツェン(Esther Rantzen)氏は、「60-70年代の若者文化も、ルールを無視したみだらな言葉がはやった。だが、社会が回帰すべきは、昔ながらのうやうやしさでも、卑屈になることでもなく、敬う気持ちを持つこと。そうすればみんなの生活がもっと気持ちの良いものになるはずだ」と語った。(c)AFP