【4月24日 AFP】カナダ郵政省は23日、同国で最も歴史が古い視覚障害者の協会「モントリオール視覚障害者協会(Montreal Association for the Blind)」の設立100周年を記念して、盲導犬をデザインした点字切手を同国で初めて発行すると発表した。

 発行されるのは52セント切手で、茶色のラブラドルレトリバーの図柄に点字が打たれ、印字も大きめになっている。約350万枚を用意するという。 

 盲導犬はドイツのゲルハルト・シュターリン(Gerhard Stalling)医師によって、第1次世界大戦後に考案された。終戦後、毒ガスで失明した数千人に上る兵士らのガイド役を犬に務めさせられないかと考えて訓練方法の研究を重ね、1916年にオルデンブルク(Oldenburg)に初の盲導犬訓練学校を設立した。

まもなく国内各地に盲導犬学校が建てられ、年間約600頭を訓練するようになり、国内のみならず英国、フランス、スペイン、イタリア、米国、カナダ、旧ソ連の目の不自由な人々に盲導犬が提供されるようになった。

 盲導犬に適している犬種は大型で知能が高く、気性が穏やかなゴールデンレトリバー、ラブラドルレトリバー、ジャーマン・シェパードなどだ。

 世界初の点字切手は、1974年にブラジルのサンパウロ(Sao Paulo)で開かれた世界盲人福祉協議会(World Council for the Welfare for the Blind)の第5回会議を記念して発行された。以後、10か国以上が点字切手を発行しているが、切手用の薄い紙では刻まれた凹凸がほどなく平らになってしまうという技術的な問題から、大半が記念切手などで実用には至っていないのが現状だ。

 この点について、カナダ郵政省の広報担当者は「点字の凹凸は、切手の印刷技術にとって大きな課題。しかし今回の点字切手は実用的で、少なくとも郵便が届くまで持ちこたえることができる」と胸を張った。(c)AFP