【3月6日 AFP】タイのバンコク(Bangkok)市内の高級ホテルが、得意客らを30万ドル(約3100万円)の超豪華ディナーに招待する。ただし、タイの最貧困地域見学ツアーに参加するとの条件付きだ。

 この企画は、前年のチャリティー企画で2万9000ドル(約300万円)のディナーを提供したことで知られるルブア(Lebua)ホテルによるもの。
 
 実施日は4月5日で、得意客50人をジェット機で、タイで最も貧しい地域とされる北東部スリン(Surin)県に案内し、村人の生活や絶滅に瀕するゾウの実態を見学する。その後、ジェット機でバンコクに戻った顧客を、ロブスター、トリュフ、ロックフォール・アイスクリームなどの豪華ディナーが待っているという趣向だ。
 
 同ホテルのDeepak Ohriマネジャーは、貧困地域の人々の生活に直に接することで、銀行家、カジノのオーナー、不動産業者などの富豪たちが利己的な考えを見直すきっかけになればと願ってこうした企画をたてたという。

「ゾウと共に暮らしてきたスリンの人々だが、貧困のため自身の生活もままならず、ゾウを守るどころではない。人々の貧困ためにゾウが絶滅しかねないことを知って欲しい。なぜなら、ホテルの得意客らはこうした地域を支援できる財力をもっているからだ」(Ohri氏)

 前年のチャリティーディナーと異なり、フランスの高級レストランガイド「ミシュラン(Michelin)」のお墨付きシェフ3人を招いた今年のディナーには莫大な資金がかかり、ディナー代金をチャリティー団体に寄贈する余裕がなくなってしまった。仏人シェフ3人が「ミシュラン」で獲得した星を合計すると「8つ星」となる。

 貧富の格差を際立たせるとして企画の倫理観を疑問視する声もあるが、Ohri氏は「富者と貧者の架け橋となる企画」と説明する。

「もし私が貧困地域の人間だったら、富豪が自分の地域を訪ねてくれたことを喜ばしく思うだろう。自分たちの実態を誰かが知ってくれることに意味があるのだ」(c)AFP