【2月19日 AFP】世界の一流シェフたちが自慢の料理を「ユーモア」で味付けしたらどうなるだろうか。フランス北西部ドービル(Deauville)で前週開かれた毎年恒例の料理の祭典「Omnivore Food Festival」では、世界中から集まった前衛的なシェフたちがユニークな料理を披露し、来場者たちを驚かせた。

 スペインの「Mugaritz」のシェフAndoni Luis Adurizさんは、薄くスライスしたおいしそうな赤身の肉にハーブを添え、ドレッシングをかけてサーブ。しかし、赤身の肉に見えたものは実はスイカ。これを食べた人は驚きのあまり、開いた口がふさがらなかったという。

 このほかにも、たくさんのシャボン玉の真ん中に「石けん」を載せた一品も提供した。

「美容業界は美食業界にも足を踏み入れ始めていて、はちみつ、大麦、花、リンゴなど、料理に使う材料をシャンプーに入れることが多くなっている。だからわたしは逆に美容品を食に取り入れたんだ」とAdurizさんは説明する。

 この「石けん」の原料は大麦、牛乳、米、ゼラチン。一番苦労したのははじけないシャボン玉を作ることで、技術者と1年にわたり研究を行ったという。そのかいあって、割れることなく、はちみつの味がするシャボン玉を作り出すことに成功した。

 Adurizさんは炭で真っ黒に焦げたように見える肉を出すのも好きだ。恐ろしげに眺める客の前でウエーターが肉を切ると、なんと中はきれいな赤色。植物性染料を使って、周りを真っ黒に色づけしたのだという。

「これらが料理史に名を残すことはないだろうが、面白い」とシェフは語る。

 都内の日本料理店「龍吟(Ryugin)」で腕を振るうシェフの山本征治(Seiji Yamamoto)さんも、ユーモアたっぷりの料理を披露。ジャガイモ、貝、ビートルートで作ったスープをワインボトルに詰め、「Chateau Ryu Gin 197O(シャトー龍吟1970)」のラベルをはり、西洋ゴボウで作ったコルクで栓をして提供した。

 さらに、イワシの写真や携帯電話で読み取れるバーコードなどで飾りつけた料理も出品した。これらもすべて食べられるものだ。(c)AFP/Dominique Schroeder