【11月11日 AFP】国民の幸福感の指標、「国民総幸福量(Gross National Happiness)」を政策の指標としているブータンについて、他国も見習うべきとの見解を、今月2日から6日まで同国に滞在していた世界銀行のGraeme Wheeler氏が地元のクエンセル(Kuensel)紙の中で語った。

 国民総幸福量を提案したのは同国のジグミ・シンゲ・ワンチュク(Jigme Singye Wangchuck)元国王で、国の豊かさを測る上でこの指標は国民総生産(GNP)よりも重要であると主張。今やブータンの発展を測る指標となっている。

■「国際総幸福量」への希望

 同紙の中でWheeler氏は、「ブータンはこの指標をベースに政策を実施し、他の諸国がすべきことを絶えず実践してきている」と語る。そして「我々はこの国民総幸福量のコンセプトを『国際総幸福量』に発展させる必要がある」と述べた。

 国民総幸福量の概念は、幸福を求める国民の意識に基づいているとされる。最近の調査によれば、人口約70万人のブータン国民のうち68%が幸福であると感じているという。

 国民総幸福量の追求は、民主化に向けた移行過程にある同国の憲法草案にも盛り込まれている。

■温暖化への対応でも重要な役割果たす可能性

 また国土の60%以上を森林で保つ方針を打ち出していることにつきWheeler氏は、「森林の利用という観点から、ブータンは温暖化対策への地球規模の取り組みの中でも重要な役割を果たすであろう」と語る。

 そして、「ブータンは温暖化にどう対応すべきかということを世界に示す中で重要な役割を果たすであろう」と述べた。(c)AFP