【ローマ/イタリア 4日 AFP】国連食糧農業機関(UN Food and Agriculture Organization、FAO)は3日、「2007年の世界穀物生産量は過去最高を記録する一方で、イラクやジンバブエなど33か国が食糧危機に見舞われる」と予想する報告書を発表した。

 FAO発行の報告書「Crop Prospects and Food Situation(穀物見通しと食料情勢)」4月号では、「食糧が不足している国」にアフガニスタン、北朝鮮、エリトリア、エチオピア、ハイチ、リベリア、モーリタニア、ネパール、ニジェール、シエラレオネ、「食糧が極端に不足している国」にイラク、レソト、フィリピン、スワジランド、ジンバブエが挙げられている。

 さらに東アフリカでは、紛争と天候不順などの複合的な要因により、数百万人が「いまだに食糧支援に頼っている」とされている。

 アフリカ南部の2007年のトウモロコシの収穫量は、国によりばらつきはあるものの、前年に引き続き「平均を下回る」と予想されている。

 一方で、中南米(集中豪雨と干ばつで農業・畜産業に大きな被害が出たボリビアを除く)とカリブ海諸国では、全体的に良好と予想されている。

 同報告書は、2007年の世界の穀物生産量は前年度比4.3%増、過去最高の20億トンにのぼると見ている。なかでも、エタノール燃料の原料となるトウモロコシへの需要の高まりにともない、北米と南米におけるトウモロコシ生産量の伸びが著しく、全体で4100万トンの増加が見込まれている。

 小麦の大幅生産増も予想されることから、前年度に天候不順による農作物被害に見舞われた一部の農産物輸出国では、経済の立ち直りが予想されている。

 写真は、ニジェールのKalfouで、「国境なき医師団」の支援を受けるために集まった人々。(c)AFP/STEPHANE DE SAKUTIN