【ワシントンD.C./米国 16日 AFP】ユダヤ系の反差別団体「名誉棄損と戦う同盟(ADL)」はこのほど、白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の活動が活発化しているとの報告を行った。

 報告によれば、昨年国内1100万人の不法移民をめぐる議論が活発化したことに乗じてKKKが「目覚しい復活」を遂げ、メリーランド州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州、アイオワ州、ネブラスカ州などに勢力を拡大したという。

 ADLのDeborah Lauter氏は、「KKKは米国民が感情的になるような問題に目をつけ、そうした問題を利用して組織を拡大することに非常に長けている」と述べ、「人種などを理由とした憎悪犯罪(ヘイトクライム)の急激な増加は見られないものの、暴力傾向のある人たちがKKKに魅力を感じ、KKKの活動に参加することをわれわれは恐れています」と語った。

■急増する白人至上主義団体

 KKKに限らず、この5年間で白人至上主義団体は急増している。ヘイトクライムについて調査する団体によれば、2005年4月以来、国内では250を超える反移民団体が新設されたという。また、KKKの支部数は2000年の110から2005年には179に急増、しかし、2006年には約150に減少した。2005年の白人至上主義団体数は803であったが、2006年はさらに増える見込みであるという。

■国民の4人に3人が不法移民問題に「要対策」

 同団体のMark Potok氏は、「いずれの世論調査も、米国人の4人に3人が何らかの不法移民対策をとるべきと考えていることを示しています。不法移民問題は結局のことろ人種問題ですので、KKKにとってはうってつけなのです」と語る。

 KKK傘下の団体に所属するPhil Lawson氏はAFPの取材に対し、「我々は政府に見捨てられたと感じているが、メンバーは急増している。数の公表は控える。メキシコからの不法入国を食い止めるための方法を模索している」と述べ、「(かつての黒人に対するリンチのような)負の歴史を繰り返すつもりはない。不法移民問題に合法的・政治的手段で臨みたい」とメールで回答した。

写真はニューヨークで、厳重な警備のもとデモ行進を行うKKKのメンバー(1999年10月23日撮影)。(c)AFP/Doug KANTER