【5月30日 AFP】世界保健機関(World Health OrganizationWHO)はこのほど、世界で拡大しつつある肥満の危機管理に真剣に取り組むよう各国に促し、不健康な飲食物への課税や、子ども向けのジャンクフード販売に対する規制などを盛り込んだ行動計画を提案した。

 WHOによると、肥満はこれまで、成人人口の約70%が太り過ぎという米国のような高所得国特有の問題と考えられていたが、現在はアフリカや中南米の途上国で最も急速に増えている。WHOの専門家はAFPに「多くの高所得国で肥満の水準は横ばい状態にある。最悪の問題は低所得国と中所得国で肥満の割合が非常に速いペースで増加していることだ」と話した。

 肥満危機への対処の緊急性が高まるなか、WHO加盟国は27日、心血管疾患、がん、糖尿病などの病気と闘うための2013~20年の行動計画を採択した。行動計画は、喫煙や飲酒、不健康な食生活など、危険なライフスタイルの選択を減らすことを目的とし、20年までに世界的な肥満の増加を食い止めるための目標などを盛り込んでいる。WHOのフランチェスコ・ブランカ(Francesco Branca)氏はスイス・ジュネーブ(Geneva)で記者団に「肥満対策は、非感染症の取り組みにおける最重要課題の1つだ」と述べた。

 WHOによると、1980年から2008年の間に肥満の水準は2倍近く増え、世界の成人3人のうち少なくとも1人が太り過ぎ、10人に1人前後が肥満だった。また、太り過ぎや肥満が原因で死亡する成人は年間少なくとも280万人に上る。この数字には、糖尿病や心臓病、がんなど、太り過ぎと関連する可能性のある病気の患者は含まれない。(c)AFP