【1月16日 AFP】フランスの科学者らが発がん性との関連があると指摘した遺伝子操作(GM)トウモロコシについて、欧州連合(EU)の専門機関である欧州食品安全機関(European Food Safety AuthorityEFSA)は14日、危険性評価を変更する必要はないとの判断に至った根拠となった全ての科学情報を公開した。

 このGMトウモロコシは、米アグリビジネス大手モンサント(Monsanto)製の「NK603」系統。仏カン大学(University of Caen)のジルエリック・セラリーニ(Gilles-Eric Seralini)氏が昨年、マウス実験で発がん性との関連が示されたと発表したが、遺伝子組み換え穀物・食品の使用や認可を審査をするEFSAでは11月、セラリーニ氏の研究は「しかるべき科学的水準を満たしていない」として危険性評価を見直すべき理由はないとの判断を下していた。

 EFSAでは当時、セラリーニ氏に研究のさらなる詳細を公表するよう要求したが、これに対しセラリーニ氏は、まずEFSAがデータを公開するよう求めていた。

 今回の情報公開についてEFSAは「公共の利益の大きさを踏まえ、GMトウモロコシNK603の全データをウェブサイトで公開する」と表明。これまでこの種の情報は要請に応じて提供してきたが「今後は一般市民、科学界を問わず誰もがこの危険性評価に使用された全データ一式を検証・利用できる」と述べている。

 EFSAのCatherine Geslain-Laneelle事務局長は、情報公開の目的は「危険性評価に使用されたデータを誰もが入手できるようにする」ことで、研究を推進し科学者たちと連携することで「公衆衛生の保護を確実にし、EFSAへの信頼が高まれば、より説得力のある危険性評価が導き出せる」と説明している。(c)AFP