【8月15日 AFP】米マイクロソフト(Microsoft)共同創設者で、現在は世界で慈善活動を展開しているビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が14日、発展途上国に合ったトイレの開発を促す新たな取り組みを始めた。

 ゲイツ氏とその妻が設立した慈善財団「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)」は米シアトル(Seattle)で「トイレ再発明フェア(Reinvent the Toilet Fair)」を開催した。

 フェアのウェブサイト「thegatesnotes.com」で発表された声明でゲイツ氏は「トイレは公衆衛生にとって、さらには人間の尊厳にとっても非常に重要なもの」と述べている。「豊かな社会に暮らす私たちが使っている水洗トイレは、世界人口の40%にとって無縁かつ非実用的、そして使用不可能なものです。そういった人たちは水や下水道、電気、下水処理システムを利用できないことが多いからです」

 トイレ再発明フェアには発明家、デザイナー、投資家、協賛者など、安全かつ効果的で安価な汚物管理システムの開発に強い関心を持つ人々約200人が参加した。

■排泄物汚染が原因で毎年150万人の子供が死亡

 フェアではトイレにまつわる将来性のある革新的な発明が表彰された。発明の募集は1年前に始まり、英国、カナダ、米国から参加した大学チームが受賞した。優勝は太陽エネルギーを動力として水素ガスと電気を生み出すトイレを設計した米カリフォルニア工科大(California Institute of Technology)に贈られた。2位は汚物をバイオ炭、ミネラル、浄水へと変えるトイレで英ラフバラ大学(Loughborough University)が、3位は排泄物を消毒した上でミネラルや水を回収するトイレでカナダのトロント大学(University of Toronto)が受賞した。

 ゲイツ財団のウェブサイト「gatesfoundation.org」では、トイレ再開発フェアの動画が公開され、その下には「世界の10人に4人が安全にうんちをする方法を持っていません」とのメッセージが添えられている。

 ゲイツ氏によれば、排泄物によって汚染された食べ物や水が原因で引き起こされる腸疾患により毎年150万人の子供たちが亡くなっており、これはエイズ(AIDS)とマラリアによる死者数を合わせた数より多い。(c)AFP