【10月25日 AFP】世界保健機関(WHO)メンタルヘルス部門のシェカール・サクセナ(Shekhar Saxena)氏は24日、東京電力(TEPCO)福島第1原発事故後に心の病の有病率が上昇したことを機に、日本は国内のうつ病に対する古い対応を一新すべきだと述べた。

 ドイツのベルリン(Berlin)で開かれた世界保健サミット(World Health Summit)でサクセナ氏は、自然災害後には災害における心の側面が無視されがちだと語った。

 うつ病は人生の汚点だという考えは西洋ではほぼ乗り越えられたものの、まだそういった発想が残っている日本ではうつ病の事例が増加していると、WHOは過去に警告していた。うつ病を「心のかぜ」と遠まわしに表現することもある日本では、都市部で最近になってようやくうつ病をめぐるタブーに対する取り組みが始まった。

 サクセナ氏によると、福島原発事故のような災害の後には、精神病などの深刻な心の病の有病率が人口の2~3%から、3~4%に増加する。また、うつ病などの、より軽度な精神疾患がある人の割合は、10人に1人の程度から5人に1人程度にまで増えるという。

 サクセナ氏は、こういった疾患の治療には医療機関よりもコミュニティーの方が適していると述べ、この種の疾患に対する姿勢やシステム全体の見直しが必要だと主張し、「日本には、災害が発生したこの機会をとらえ、システムをもっとコミュニティーに根ざしたものにすることを勧める」と語った。(c)AFP/Richard Carter