【5月25日 AFP】5歳未満で死亡する子どもの数が、40年前と比較して全世界で60%減ったとの研究報告が、24日発行の英医学専門誌「ランセット(The Lancet)」に掲載された。

 研究は米ワシントン大学(University of Washington)の「保健指標評価研究所(The Institute for Health Metrics and EvaluationIHME)」が実施。報告書によると、5歳未満の子どもの死者数は過去20年で1190万人から770万人まで急激に減少した。

 しかし現在も、予防可能な疾病による死亡や貧困国での死亡は驚くほど多い。チャド、マリ、ナイジェリアで生まれる子どもが5歳の誕生日を迎える可能性は、北欧諸国で生まれた子どもの約6分の1だ。また、国連(UN)のミレニアム開発目標(Millennium Development GoalsMDGs)では、子どもの死者数を1990年から2015年までの期間に66%減らすことを目標としているが、現状ではまだ達成する見込みがない。

 とはいえ、5歳未満死亡者数が減少していることは希望の持てる結果であり、さらなる減少も見込める、と報告書は指摘する。ブラジルやメキシコ、マレーシア、エジプトなど31か国が現在の減少率のままで2015年の国連目標を達成でき、最終的には研究対象187国のうち54か国が達成できる見込みだ。

 1970年には、生まれた1000人の子どものうち200人が5歳未満で死亡していた。しかし、1990年には子ども1000人のうち200人以上が5歳未満で死亡する国は12か国に減少し、現在はゼロになっている。報告書は、予防接種やマラリア対策の蚊帳、エイズウイルス(HIV)の母子感染の予防、抗レトロウイルス薬などが子どもの死亡者数の減少に貢献したと指摘している。

 IHMEの新手法による統計は、国連統計と比較して死者数が少なく出る傾向がある。国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)による2008年の5歳未満児の死亡者数は877万人だったが、IHMEの統計では82万人少ない795万人だった。(c)AFP/Marlowe Hood