【5月6日 AFP】うつ病に悩む人たちに、電磁刺激による治療法が効果をもたらす可能性が新たな研究で明らかになった。向精神薬によるうつ治療に替わる治療法となりうるかもしれない。
 
 3日に発表された研究では、それまでに抗うつ薬で効果が得られなかったうつ病の患者190人に少なくとも3週間、電磁刺激を与えた。すると14%の人でうつ症状の寛解(かんかい)がみられ、その多くは軽快な状態が数か月間持続した。

 この治療法は、反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)と呼ばれ、うつ症状に効果があるかどうかが議論されてきた。しかし研究を率いた米サウスカロライナ医科大学(Medical University of South Carolina)のマーク・ジョージ(Mark George)氏は「これで議論に決着がつくはずだ」と言う。今後も研究が必要とされるが、薬物を使用しない治療法として将来的に期待は高い。

 ジョージ氏によると、現在は治療効果をさらに高めうる可能性について検証中で、うつ病以外にも、脳疾患などに応用できる刺激療法として発展させることができればと意気込んでいる。

 この治療法は、頭頂部左前付近に電磁コイルによって刺激を与え、感情制御回路を活性化させる。医師の下で安全に施術でき、電気ショック療法(ECT)などほかのより侵襲的な脳刺激療法と異なり副作用もほとんどないという。

 米国立精神衛生研究所(US National Institute of Mental Health)が資金提供した今回の研究は「侵襲的な治療法に置き換わるものと期待するには時期尚早だが、既存の治療法で効果がない患者に対して、効果は少なくとも認められた」と同研究所のトーマス・インセル(Thomas Insel)所長は述べている。(c)AFP