【3月24日 AFP】米国立衛生統計センター(NCHS)が23日発表した調査結果によると、米国では2007年に帝王切開によって誕生した新生児が全体の32%、人数にして140万人と過去最高に達していたことが分かった。

 1996年と2007年を比較すると、帝王切開による出産の割合は53%増加し、誕生した新生児の数では71%増加した。また2006年の1年間についていえば、米国の病院で最も多く実施された外科手術は帝王切開術だった。

 母親の腹部と子宮を切開し、母胎から胎盤などと一緒に胎児を取り出す帝王切開術は広く行われているが、今回の米国の調査ではすべての年齢、人種グループで増えていた。

 ただし、高年齢で出産する場合ほど帝王切開が多い点は以前と変わらず、2007年は20歳未満の出産における帝王切開は23%だったのに対し、40~54歳での出産は48%だった。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)が最適としている帝王切開による出産率は15%だ。

 調査では、帝王切開術の増加の理由について晩婚化を挙げている。米メリーランド(Maryland)州ボルティモア(Baltimore)近郊の聖ヨゼフ医療センター(St Joseph's Medical Center)の産婦人科医ジュディス・ロシター(Judith Rossiter)博士は、30代、40代の女性は出産によってキャリアが中断されがちなため、出産を仕事のスケジュールに合わせたがる傾向があるのも一因だと語る。 「母親から『3月24日の午前8時に生まれるようにしてほしい』というような要望が増えた。『前日は大きな会議があるし、6週間後には仕事に復帰しないといけないから』といった具合です」

 また、医療的な理由というよりも、何か問題があったときに帝王切開をしなかったことで訴えられるのを恐れる産科医も増えているという。「帝王切開のほうが自然分娩(ぶんべん)よりも安全だという学術的証拠はないにもかかわらず、裁判になれば弁護士に『帝王切開をしていればこの問題は生じなかったのではないですか』と問い詰められかねません。帝王切開をしてさえいれば、その論法を使われずにすみますから」(c)AFP/Karin Zeitvogel