【3月22日 AFP】英ロンドン(London)のグレート・オーモンド・ストリート(Great Ormond Street)小児病院の医師団はこのほど、気管狭窄(きょうさく)の10歳の少年に、少年自身の幹細胞を利用した気管の再生手術を実施したと発表した。子どもを対象とした手術では世界初という。

 手術は15日に、英国とイタリアの合同医師団によって行われたという。9時間近くに及んだ手術では、ドナーから提供された気管の細胞をはぎ取ったものに少年の幹細胞を注入し、少年の体内に移植した。

 医師団は、1か月ほどで少年の骨ずい幹細胞が体内で気管に変形していくものと見ている。臓器移植では拒絶反応が問題となるが、今回の手術では患者自らの細胞を利用しているため拒絶反応は起こらないとされる。成功すれば、再生医療における革新的な進展となる。

 少年は、広範気管狭窄という気管が細いまま成長しない病気で、医師団によるとストローで呼吸するような状態だったという。11月に容態が悪化したことから、主治医らが2年前に肝細胞による気管支移植を行ったイタリア人医師に連絡を取ったという。執刀医によると、手術後の少年の容体は安定している。(c)AFP

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