【11月20日 AFP】患者自身の幹細胞を使用して作られた気管支を移植するという画期的な手術に成功したと、スペイン・イタリア・英国の医療チームが19日、発表した。

 移植手術を受けたのは、結核を患っていたコロンビア人のクラウディア・カスティージョ(Claudia Castillo)さん(30)。カスティージョさんは、気管支の組織が感染症で治療不能になり、左肺を切除する以外に方法がないという事態となった。

 これに対し、医師らは気管支移植手術を提案。カスティージョさんの同意を受けた後、スペイン・イタリア・英国の各医療チームが移植手術に向けて行動を開始した。

 チームはまず、51歳のドナーの遺体から取り出した気管を高度な技術で洗浄し、表面の細胞などを除去して「骨格」だけの状態にした。次に、カスティージョさんの骨ずいから採取した幹細胞を培養して気管支の構造の基礎となる軟骨細胞や上皮細胞を生成。それらを骨格だけになった気管の表面でさらに培養し、気管支を再生した。

 その後、医療チームはカスティージョさんから症状の悪化した気管支を除去し、新しい気管支を移植。手術の4日後、移植された気管支はほかの臓器と見分けがつかないほど正常に機能していたと、チームは報告している。(c)AFP/Marlowe Hood