【2月25日 AFP】体外受精(IVF)を受けた女性が死産する確率は、自然出産またはほかの不妊治療を受けた女性の場合と比べて4倍高いとする研究結果が、24日の医学誌「ヒューマン・リプロダクション(Human Reproduction)」に発表された。

 デンマーク・オーフス大(Aarhus University)の研究チームは、1989~2006年に単胎出産かつ初産で産まれた新生児2万166人のデータを精査した。

 うち、子作りを決意して12か月以内に産まれた新生児は全体の82%で、両親は「非不妊」に分類された。

 子作りを決意してから1年以上たって産まれた新生児は全体の10%で、両親は「準不妊」に分類された。
 
 IVFまたは卵細胞質内精子注入法(ICSI)を受けた結果産まれた新生児は全体の4%、その両方を受けずに卵管閉そくの手術や排卵を再開させるホルモン療法の結果産まれた新生児も4%だった。

■IVF/ICSIを受けた女性の死産リスクは4倍

 死産リスクを見てみると、IVF/ICSIグループでは1000人中16.2人、IVF/ICSI以外の治療を受けたグループでは1000人中2.3人、非不妊と準不妊ではそれぞれ1000人中3.7人と5.4人だった。

 母親の出産年齢、喫煙習慣、アルコールやコーヒーの嗜好(しこう)などを考慮しても、IVFまたはICSIを受けた女性の死産リスクは4倍になるという結果が得られた。

 研究者は、「死産リスク上昇の要因は不妊にあるのではなく、まだ解明されていないそのほかの要因、例えばIVF/ICSIで使用される技術やIVF/ICSIを必要とするカップルにおける生理学的な相違といったものが考えられるのではないか」と指摘している。

 なお、死産リスクにこうした差が出る理由は不明だが、IVFを受けた女性が死産する確率は実質的には低いと、研究チームは強調している。  

■IVFと死産リスクの関連性を否定する研究も

 この論文に対しては、スウェーデンの研究者らが異議を唱えている。国内の3万1850人の新生児を対象としたより大規模な調査では、そうした関連性は見いだされなかったという。

 ただ、IVFを受けた女性の場合、出産におけるさまざまなリスクは多胎妊娠よりも単胎妊娠の方がはるかに低いことがわかっているという。(c)AFP