【10月27日 AFP】欧州委員会(European Commission)は26日、エイズウイルス(HIV)感染者の3人に1人近くが、自らが感染者であることを知らず、HIV感染の危険性を高めているとの報告書を発表した。

 エイズが明らかになってから25年以上経つものの、欧州委員会は、欧州がエイズに対する警戒を解く時期ではないと警告。近隣諸国の中には、感染者が倍増した地域もあると述べた。

 エイズの発症や進行を抑える治療法はあるものの、ワクチンや完治する方法はいまだ見つかっていない。

 欧州委員会のアンドローラ・ワシリウ(Androulla Vassiliou)委員(保健担当)は声明で、「HIV/AIDSに対する闘いへの政治的な気運を維持する必要がある」と訴えた。

「人々に、自らに責任をもち、パートナーとセーフセックスについて話し合い、実践し、HIV検査を受けに行くよう働きかける必要がある」(ワシリウ欧州委員)

 欧州委員会の統計によれば、欧州連合(EU)27か国とその近隣諸国のHIV感染者またはエイズ患者の数は、2001年の150万人から07年に220万人に増加した。そのうち73万人がEU域内に生活している。07年には、EUと近隣諸国で約5万人の新たなHIV感染者が見つかったという。

 HIVに感染している15-49歳の成人の人口に占める割合は国によって異なり、最も少ない国で0.1%、最も多い国で1.0%以上だった。

 フランス、イタリア、スペイン、ポルトガルは比較的感染者率が高く、0.4%から0.5%の間にある。しかしエストニアはさらに高く、感染者率は約3倍の1.3%となっている。

 ロシアでは人口の約1.1%がHIVに感染しており、ウクライナは1.6%にも上る。(c)AFP