【10月21日 AFP】タイで3年かけて実施されていたエイズワクチンの臨床試験の結果が20日、医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に発表された。

 この研究結果は9月24日にバンコク(Bangkok)のメディアが取り上げていたが、専門家の審査を経て学術誌に掲載されたのはこれが初めて。

 このワクチンは、2つのワクチン(ALVACAIDSVAX)を合わせたもので、約15年前に開発された。これまでにいくつかの臨床試験が行われているが、いずれも、安全ではあるが有効性はごくわずかという結果が得られていた。

 米軍HIV研究プログラムのネルソン・マイケル(Nelson Michael)氏とタイのSuperchai Rerks-Ngarm氏が率いる研究チームは、HIV陰性のボランティア1万6395人を集め、うち8197人にはワクチンを、残り8198人にはプラシーボ(偽薬)を与えた。

 その後HIVに感染したのは、ワクチンを与えたグループでは51人、プラシーボを与えたグループでは74人だった。つまり、ワクチンを接種したグループではHIV感染リスクが31.2%低減されたことがわかった。

 ワクチンは通常、有効性が最低でも50%はないと一般への利用が認められないとされている。研究チームは、実験におけるHIV感染者数は少ないものの、この結果は統計的に有意であり、エイズワクチンが有効であるという確証が初めて得られたケースだとして、この結果をもとにワクチンの開発が加速することを期待している。(c)AFP