【8月31日 AFP】肺ガンであるかどうかを吐いた息で診断できるセンサーが開発されたとの研究報告が、30日の専門誌「ネイチャー・ナノテクノロジー(Nature Nanotechnology)」に発表された。

 このセンサーを開発したのはイスラエル工科大学(Israel Institute of Technology)の研究チーム。センサーを用いれば、レントゲンで確認できる腫瘍(しゅよう)に発達する前の早い段階で肺ガンを発見できるため、病気の進行を食い止める有効な手段になりうると、チームは報告書の中で述べている。

 がん患者の吐く息の中に存在する、揮発性有機化合物(VOC) と呼ばれる化学物質がある。VOCは数ナノメートル(1ナノメートル=10億分の1メートル)の極小の物質だ。研究チームはこのレベルまでの検知が可能な金ナノ粒子を使用して、肺ガンを検知するためのセンサーを開発した。これを使えば86%の高い精度で肺ガンかどうかの診断ができるという。

 肺ガンは早期発見で生存率が劇的に上昇するとされているが、現在、転移を始める前に病気が発見できる件数の割合は、全体のわずか15%だという。従来の高額な診断方法と違い、「簡単で短時間で安価に実施できる診断方法だ」と、研究チームは自負している。(c)AFP