【1月13日 AFP】欧州食品安全機関(European Food Safety AuthorityEFSA)は11日、クローン技術で生まれた健康なウシとブタの肉やミルクは、「おそらく」安全性に問題ないと発表した。一方、クローン動物についての情報は、いくつかの点で不明な点が残っていると注意を促した。

 EFSAは同機関のウェブサイトで、2007年2月に欧州委員会(European Commission)から要請されたクローン動物に関する「見解案」を発表。この案に対し、来月25日まで公衆の意見が募集され、5月に修正案が発表される予定だ。

 見解案の中でEFSAは、「クローン技術で生まれた健康なウシやブタから製造された食品は、組成と栄養価については通常の動物と同様に正常範囲内で、食品安全上の違いはほとんどない」としている。

 EFSAはまた、1997年に世界初のクローン羊「ドリー(Dolly)」を生み出す際に用いられた、体細胞核移植と呼ばれるクローン技術について、「ウシやブタにも使用できる」と述べている。

 一方で、クローン技術は比較的新しく、安全性の評価に必要なデータが十分でないと指摘。クローン動物の死亡率や発病率は非常に高いの現状だが、技術が向上すれば死亡率は減少すると予測している。

 また、これまでの研究はほとんどがウシかブタに限られておりサンプル数も非常に少なく、クローン動物が環境に与える影響についてもデータが限定的で予測できないとしている。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)は4日、米食品医薬品局(US Food and Drug AdministrationFDA)が、クローン動物やその子孫から製造した食品について安全宣言を行う見通しだと報じた。

 欧米では、クローン動物やその子孫から製造した食品の販売は許可されておらず、正式な安全宣言はまだ行われていない。(c)AFP