【11月22日 AFP】米カリフォルニア(California)州東部の砂漠にある3500年前の岩面彫刻が何者かによって損傷させられ、4か所では彫刻の一部が剥ぎ取られて盗まれる事件があった。遺跡管理当局では懸賞金1000ドル(約8万3000円)を掛けて犯人逮捕につながる情報提供を呼びかけている。

 米内務省土地管理局(BLM)のカリフォルニア州ビショップ(Bishop)事務所が20日に明らかにしたところによると、破壊されたのは「ボルケニック・テーブルランド(Volcanic Tablelands)」と呼ばれる遺跡で、米先住民の聖地と考えられている。シカやヘビ、弓矢を手にした狩人たちの姿が3500年前の狩猟民の手で岩に刻まれ、何世紀も風雨や洪水、地震に耐えてきた。グレートベイスン(Great Basin)の岩面彫刻を代表する遺跡だという。

 盗まれた4点の彫刻はそれぞれ縦横60センチメートルほどで、セメント切断用の電動のこぎりで表面を剥ぎ取られていた。高さ約4.6メートルの岩壁から切り取られたものもあり、はしごや電動機も犯行に使われたとみられる。

 他にも深い切り込みやハンマーで傷つけられた跡が残る彫刻が数十点あり、イースタンシエラ(Eastern Sierra)の駐車場のそばには剥ぎ取る際に割れたため捨てられたとみられる彫刻もあったという。

 BLMビショップ事務所の考古学者、グレッグ・ヘーバーストック(Greg Haverstock)氏は米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)に対し、犯人たちが彫刻を「たたき割り、奪い取った」と述べ、同事務所の管轄で起きた「史上最悪の文化財破壊行為だ」と非難した。

 BLMビショップ事務所のベルナデット・ロバト(Bernadette Lovato)所長によると、彫刻の損壊と盗難は10月31日に同遺跡を訪れた人が発見した。通報を受け、ロバト所長は事件について地元先住民の長老たちに連絡したが、「これまでの人生で最もつらい電話だった。彼らの文化と信念がひどく侵害されたのだ。盗まれた彫刻を取り戻すため全力を尽くす」と語っている。(c)AFP/Michael Thurston