【6月16日 AFP】ブルガリアの教会の床下から2年前に見つかった人骨が、聖書に登場する洗礼者ヨハネ(John the Baptist)のものだとする説を裏付ける証拠を発見したと、英国とデンマークの考古学チームが発表した。

 この人骨は、「聖ヨハネ」という意味を持つスベティ・イバン(Sveti Ivan)島の教会でブルガリアの考古学チームが発掘した小型の大理石のひつぎの中から見つかったもの。指関節や歯、頭蓋骨の一部と、動物の骨3本が入っていた。ひつぎの傍らには火山灰を固めて作られた小箱があり、古代ギリシャ文字で「洗礼者ヨハネ」の名と生誕日とされる「6月24日」の日付が刻まれていた。

 このほどオックスフォード大学(University of Oxford)は声明で、右指の関節の骨は西暦1~100年の間のものであることが同大チームの研究で分かったと発表した。この年代は、ヘロデ王の命で斬首されたヨハネが生きていた時代と一致するという。

 一方、デンマークのコペンハーゲン大学(University of Copenhagen)の研究チームは遺骨をDNA鑑定にかけ、見つかった骨は全て同一人物のものだと突き止めたという。性別は男性の可能性が高く、現在の中東に当たる地域の出身で、これもヨハネと一致する。

 この2つの発見はいずれも何らかの確証に至るものではないが、遺骨を発見したブルガリアの考古学者らが最初に唱えた「洗礼者ヨハネの遺骨」説を両大の研究チームとも否定はしていない。

 また、これとは別のオックスフォード大研究者が行った歴史資料研究では、5世紀~6世紀初期にスベティ・イバンの僧院がヨハネの遺物の一部を譲り受けた可能性が示唆されている。

 ヨハネの遺物をめぐっては、シリア・ダマスカス(Damascus)のウマイヤド・モスクが頭部を保管していると主張しているほか、ヨルダン川(River Jordan)でイエス・キリストに洗礼を施したとされる右手はモンテネグロのセルビア正教教会など複数の団体が保有を主張している。

 今回の発見は英国で17日、ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)チャンネルでドキュメンタリー番組として放映される。(c)AFP

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