【6月1日 AFP】6月4日から始まるメトロポリタン・オペラ(Metropolitan Opera)の日本公演に出演予定だった主要キャスト2人が、原発事故への懸念を理由に急きょ降板した。同歌劇場のピーター・ゲルブ(Peter Gelb)総裁が5月31日、都内で会見を開き、発表した。

 来日を取りやめたのは、ロシア出身のソプラノ歌手アンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)とマルタ出身のテノール歌手ジョセフ・カレーヤ(Joseph Calleja)の2人。同歌劇場は前週末、代役の手配に追われたという。

 メトロポリタン・オペラの日本公演は7度目で、今回は14公演を行う。出演者らは30日、名古屋に到着した。

 ゲルブ総裁は降板せざるを得なかった歌手への理解を示しつつ、同歌劇場と日本国民を支えるために世界から集まってくれた出演者たちにとても感謝している、彼らのおかげで我々の公演は続いていくと話した。

 1971年にロシア南部のクラスノダール(Krasnodar)で生まれたネトレプコは、チェルノブイリ(Chernobyl)の事故を経験していることが心理的な負担となり来日をキャンセルしたという。

「彼女は最高のパフォーマンスを見せられないと感じており、日本のファンを失望させたくなかったようだ」(ゲルブ総裁)

 カレーヤもぎりぎりになって、今の日本で公演することに不安を感じたという。

 代役に決まったのは、ソプラノのマリーナ・ポプラフスカヤ(Marina Poplavskaya)とテノールのマルセロ・アルバレス(Marcelo Alvarez)、同ロランド・ヴィラゾン(Rolando Villazon)。ポプラフスカヤはパリ(Paris)での公演を取りやめての来日で、アルバレスは休暇先のアルゼンチンから駆けつけることになった。(c)AFP